プロローグ 赤


空は業火の炎で。
地面は多くの死者の血で。
まるで、一面に紅い彼岸花が
咲いているかのように。
全てが赤く染まっていた。
そんな死体だらけの真ん中に、一人の女がいた。
銀の長い髪を風に揺らし、
銀の瞳は涙で霞んでいる。
彼女は負の感情の入り混じる透明な声で、
一文字ずつ口を動かす。

「うそつき」